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フランスの苗字事情と国際結婚【フランスにおける選択的夫婦別姓】

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約5分

 

日本では最近、最高裁にて夫婦同姓は「違憲ではないが、世論の声を鑑みて国会で議論を尽くすべき」という見解が出されました。

ではフランスは結婚した際の苗字ってどうなるのだろう?国際結婚の時に名前ってどうなるのだろう?と思う方も多いのではないかと思い、こちらで詳しくまとめてみようと思います。

 

はじめに:世界と日本の選択的夫婦別姓の現状

皆さん、世界で夫婦が同姓を名乗ることを義務付けられている国は何カ国あるか知っていますか?

実はこれ、日本だけなんです。

多くの国が、選択的夫婦別姓制度を導入していたり、そもそも結婚の際に改姓しない風習があります(日本も国際結婚の場合は別姓か同姓かで選択することが可能)。

日本の夫婦同姓は明治31年から導入されていますが、現在は女性の社会進出もあり、夫婦同姓制度を選択的夫婦別姓制度に変更すべきという議論が起こっています。国際的に見ても、1980年に日本も締結した女子差別撤廃条約では「姓を選択する権利」が明記されており、日本に対して勧告が出されている現状があります。さすが世界ジェンダーギャップランキング2021で120位(119位は中央アフリカのアンゴラ、121位は西アフリカのシエラレオネ。G7でダントツ最下位)の国です。

では、世論はどうなっているのでしょうか。

25、26日に朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)で、選択的夫婦別姓について尋ねると、69%が「賛成」と答え、「反対」24%を大きく上回った。自民支持層でも63%が賛成し、反対は31%だった。
2020.1.27-「選択的夫婦別姓、賛成69% 50代以下の女性は8割超」

2020年の調査ですが、選択的夫婦別姓に賛成しているのは69%で、過半数を上回っています。ただし、国会での承認後に法律の改正が必要で、元与党である保守派の自民党が選択的夫婦別姓に反対であるため、議論が前に進んでいません。日本が世界の国に追いつくのはいつになることやら・・・。

 

フランスの氏姓制度で覚えておきたい単語

まず、フランスの苗字の話をする前に、いくつかのキーワードを紹介します。

Le nom de famille

生まれた時の苗字。nom de naissance(出生姓)や nom patronymiqueとも言われます。

Le nom d’usage

通称姓。日常生活で使う苗字のこと。通称姓を使う場合には手続きが必要です。

Le double nom

複合姓・二重姓。

 

フランスの結婚の際の苗字事情

フランスでは、原則として苗字は出生姓のままで変わりませんが、結婚をすると配偶者の苗字を通称名として利用することができます(事実婚やPACSでは適用されません)。以下の三つの選択肢があります。

  • 同姓
  • 別姓
  • 複合姓

同姓

どちらか一方の苗字に合わせる、日本と同じ形式です。フランスではこの割合が多いそうです。ただ、生まれた時の性別が置き換わるという訳ではなく、通称姓が一方の苗字になる、という考え方です。

別姓

日本ではまだできない別姓、夫婦それぞれが出生姓を保持することもできます。

複合姓

こちらも日本ではまだできない複合性。婚姻する二人の苗字をそのまま残す方法です。どちらの苗字が先に来ても構いません。通常はスペースで二つの苗字の間を区切ります。

特にdeが入る昔の貴族の苗字(例:Charles de Gaulle)を持つ方は結婚の際にも苗字を保持したい!という方もいるとのことで、複合姓を取ったり、別姓にしたりすることも多いそうです。かなり名前が長くなりますが・・・。

例えば、Louis MartinとEmma Dupontが結婚をする場合、同姓ならMartinもしくはDupontに、別姓なら現状のまま、複合姓ならMartin DupontもしくはDupont Martinになります。

フランスの子どもの苗字

子どもの苗字はどちらか一方に合わせるか、複合姓を取ることができます。複数子どもがいる場合は同じ苗字での統一が必要で、子どもごとにバラバラの苗字を使うことはできません。2019年に生まれた子どもの81.4%は父親の苗字、6.6%は母親の苗字、11.7%は複合性でした。

子どもの苗字に関してもっと知りたい方は以下の記事をチェック!

気になる!フランスと日本の名字制度の違い!!

日本での国際結婚の苗字

日本でフランス人と国際結婚をする場合、外国人配偶者の戸籍はないので、何も手続きをしなければ別姓になります。もし戸籍上も配偶者(外国人)と同姓にしたい場合は、婚姻後6ヶ月以内に「氏の変更届」を提出する必要があります。また、外国人が日本の苗字を名乗りたい場合、通名の申請をすれば通称名として日本の苗字を登録することができます(日本国籍の場合はできません)。

複合姓を希望する場合はもっと手続きが複雑になり、家庭裁判所で申し立てをしなければいけないそう。ただ、複合姓を使う必然性を証明しなければいけないということで、一筋縄では通らない模様。棄却されてしまうことも多々あるそうです。

日本での国際結婚の子どもの苗字

日本では戸籍の苗字が子どもの苗字になるので、戸籍上の日本人親の苗字がそのまま子どもの苗字になります。もし別姓にするならば、日本では日本の苗字、フランスではフランスの苗字で名前が二つということもありえるということです。

もし子どもの苗字だけ変えたい場合は、家庭裁判所で「氏の変更許可申し立て」の手続が必要となります。15歳以下の未成年でも法定代理人を立てれば手続きが可能で、受理された場合は単独の戸籍になるそうです。

 

ということで、今回はフランスの苗字の多様な選択肢とちょっぴり国際恋愛の苗字事情に関してお届けしました。早く日本でも多様な選択肢がある環境になることを願っています。

About The Author

Framour代表・編集長SHIZUKU
Framour管理人。2014年~2015年に交換留学生としてパリのグランゼコルでビジネスを1年勉強。2016年にはニューカレドニア現地の高校で日本語の授業のアシスタントとして7ヵ月就労。現在は都内でOL生活。得意分野はwebマーケ・SEO分析・webデザイン・編集/ライティング。
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